アートをビジネスにするために。

9月 1st, 2010 @ 梶原 信次


アートをビジネスにするために。

↑ なかよし

奈良美智、村上隆

などをはじめとする同世代のアーティストの展覧会を

企画・開催し、海外への積極的に紹介した人物。

現代日本のアートシーンを牽引する中心的ギャラリスト、

小山登美夫 という人の本を読んでみた。

1963年東京生まれ。東京藝術大学芸術学科卒業らしい。




「現代アートビジネス」2008年4月 アスキー新書





西村画廊に1989年まで勤めた。

オーナーの西村建治さんは、

「作品の背後には必ず生身の人間である

アーティストがいる」ということを

とても大切にしている。

売ることだけを重視するのではなく、

美術館やコレクターとコンタクトを密にとって、

マーケットを着実につくっていく売り方。





ギャラリストは、広い意味で画商に含まれるが、

展示空間=ギャラリーを持ち、

みすから企画展示をする点が、大きな違い。

ニューヨークを中心とした現代アートの

環境から生まれたスタイル。





現代アートの展覧会で作品が売れた場合、

代金の半分がギャラリーの売上となる。





不景気になれば、高額商品は売れない。

安い商品を求めるようになる。

若いアーティストの作品が売れるチャンス。





1989年、アメリカのギャラリーを見て歩いた。

どうやって絵が掛っているか?

展示されているか?

値段の付け方は?

などを見るよう、白石ギャラリーの

白石さんからアドバイスをされた。





アメリカのギャラリーで驚いたのは、

ギャラリーの数の多さと、

その数に負けないほどの多様さ。

アメリカのマーケットは、

日本と比べモノにならないほど

層が厚い。





ギャラリーでの値段は、

作品とアーティストのキャリア、

マーケットの状況を睨みながら判断する。

初個展では、ほかのアーティストと比べて

「ちょっと安いかな」くらいの値段でも

確実に売ることが大事。





その人が買うとマーケットが広がるような

リーディング・コレクターという人が、

ニューヨークにはたくさんいる。





ギャラリストを定義する上で

欠かせない人物が

レオ・キャステリ。

アメリカ抽象表現主義、

ポップアート、

ミニマルアート、

コンセプチュアルアートという

アートの歴史とそれに見合った才能を

次々と発掘し、精力的に発表した。





村上隆ほどの完璧主義で、しつこくて、

妥協ができなくて、反骨精神がむき出しの

人はいない。

短期的な戦略ではなく、日本/西欧の

歴史を考えた上での、

死に物狂いの戦略。

コストも手間もかけて、作品を作り続けている。

記者や雑誌編集者、キュレーターや美術評論家

といった、発言や評価がメディアに対して

影響のある人たちに積極的に働きかける。

作品のイメージをどうやって

ブランディングしていくかを問題としていた。

個人的な表現として作品を作るのではなく、

多くの人の頭脳や技術を

徹底的に調べ上げ、それを集積させた

結果を作品にしていく。





村上隆は、1994年に

ロックフェラー財団の奨学金を得て、

ニューヨークに渡る。

現代アートの本場ニューヨークで

アートの世界基準、と

自ら呼ぶものとつかみとった。





その作品が歴史の中の

美術としてどうなのか?

それこそを重要としている。





絵具の色彩やモチーフの形状

といった美術の基本的な要素と同じく、

歴史やコンセプト(例えばオタク文化と欲望の問題など)が

色濃く反映されているかどうかも、

美術にとって非常に重要。

それが濃密であるほど、

美術品としての完成度が高いとみなされる。

村上隆はその力が強い。





日本のマーケットはまだまだ成熟していない。

欧米との差は歴然。





村上隆は「コピーライト」という発想を

美術の世界に持ちこんだ。画期的だ。

モノではなく、イメージとして

美術が流通するということは、

美術がモノを介さずに

「コンセプト」それ自体で成立するということ。

ただし、アートの消費を

食い止めることは難しいのではないか。





奈良美智は、

何年も何年もずっと、

外との関係を最小限にして、

自分の内面を突きつめて描く制作スタイル。

イラストレーターは、

エッセイに寄せる挿絵だったり、

広告のビジュアルだったり、

絵の目的を外から提示されて描く。

ただし、奈良美智は、

一貫して「描きたいもの」しか描かず

もっとも純粋な核のようなものが

揺らぐことはない。





奈良美智が描いている作品は、

自分の体験や記憶の中から出てきた

女の子やその表情。

個人に根ざした想いが籠っていながら

誰の中にでもある子供像のようなものへ

と通じている。

構図、色などの

絵画が成立するポイントは

とてもよく理解していて、押さえられている。





スカイ・ザ・バスハウス

現代アートの動向に影響力のあるネットワークを抱え、

マーケットも国際的、

いわば現代アートのメインストリームのギャラリー。





どこのギャラリーで個展をするか?

ということも作家の評価を左右する。

国内外で評価されているアーティストを

扱っていて、

セカンダリーのマーケットが安定して確立している。

などがその基準。

美術業界に影響力のある人が

コレクションしてくれる方が

作品の評価が上がる。





アーティストとしての条件。

モチベーションがあって、

よい作品をつくろうと思い、

どういうふうに制作すればいいかをつかんで、

そこで自分の世界が見えていること、

これが第一条件。

次に第二条件。

自分の描きたいものや

表現したい世界を

客観的に見ることが必要。

作品に対してある程度の距離感が持てないと、

作品を社会化することはできない。

アーティストにとって、

批判性はとても大切な要素。





GEISAI(ゲイサイ)は

ビッグサイトなどの巨大スペースに

アーティストの卵たちを一堂に集め、

それぞれが有料ブースを使って

作品を披露。

貸画廊より出展料が安い。





アーティストの

ポートフォリオの5年分くらいを見ると

何を考えて何に真剣に取り組んで

来たのか、

どうやって今の作品に辿りついたか

がわかる。

「この方向だ」と手ごたえを感じたら、

それに合わない作品は外していく

作業が必要。





世界でもっとも有名なギャラリーは、

ニューヨークのガゴシアン・ギャラリー。

ニューヨークでもう一軒挙げるなら

マリアンン・ボエスキー・ギャラリー。

日本のアーティストもよく個展をしている。

ヨーロッパではパリのエマニュエル・ペロタン・ギャラリー。

ロンドンではホワイトキューブが若いギャラリーだが

現代アート発信地として中心的な役割を果たしている。

ロンドンでもう一つ、セイディ・コールズ。





格式あるオークションのカタログは重要。

クリスティーズやサザビーズの出品カタログは、

アートマーケットに広く浸透している。

価格の基準として採用され、

独り歩きしてしまうほど。





新作をギャラリーに展示して販売する場合に

付ける値段を

「プライマリー・プライス」という。

作品が初めてマーケットに出た時の値段。

高額で取引される

セカンダリーマーケットも存在する。

中古となってもなお価値を保ち続ける、

もしくは著しく値上がりするのが美術品。

プライマリー・プライスには価格設定の原則がある。

サイズと素材により。

大きくなれば価格が高くなる。

キャンパスに描かれたペインティングは

紙上のドローイングよりも相対的に価格が高い。

複数作られるエディション作品は、

一点ものよりも安くなる。



ペインティングとは、油彩画、アクリル画。

ドローイングとは、線画、水彩画。

エディションとは、版画。

1970年代にニューヨーク近代美術館で

コレクションされるようになってから、

写真も現代アート作品と同様に見なされるように。

プライマリー・マーケット、

すなわちギャラリーで購入する人は、

転売してもうけようと考えるよりも、

「その作品が好き」

「気に入った」

というピュアな動機を持っている場合が多い。





今、中国をはじめとした

アジアのアートの人気が高まっている。

中国、インド、ロシア、アラブ産油国などの

富裕層の資金が、

現代アートの市場に大量に流れ込んでいる。

投機筋は、これから新興経済国の

現代アートを安いうちに

青田買いしておいて、

評価が付いたら高く売ろうと

買いあさっている。

アジアの現代アートだけを

集めたオークションが開催されうようになった。

ながーーーーっ

続きはまた!