ひらめき脳 茂木健一郎

1月 18th, 2010 @ 梶原 信次

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ひらめき脳 茂木健一郎



すごーくよくテレビに出ている、おっさんの本を読んだ。
ネットカフェに寝泊まりしていたり、他人の焚火に無断で手を当ててきそうな、外見をしているおっさんだ。

けど、脳科学の第一人者らしい。

■なぜ、この本を選んだのか?

おれらみたいな少人数の制作会社では、1人で多種多様な作業をしている。

「サイトや事業の分析から、課題抽出」もしくは「ちょっと笑えるようなボケ的なアイデアだしから、数多くの現実的な要件をクリアした企画案の捻出」、そして「直感的なイラスト制作や、バランス重視のレイアウトデザイン制作から、理詰めで構築していくプログラム開発」などだ。

もっともっと単純作業に近いものもある。

それはそれで楽しいのだが、「長時間、レイアウト制作の作業をしたのちに、初期段階のアイデア出し(つまり、要件を設けずに自由で新しいアイデアを出すためのブレスト)」を行う際、

当然なのかもしれないが、頭がすぐについてこない。
活用している脳の種類(部位?)の違い、それらのコントロール方法についてを、否が応でも意識してしまう。

というようなことと、やはり宇宙人と会話できるようになれるのは、大変なメリットの1つなので脳の活用については、人一倍興味を持っている。(コツコツ学んでおけば、超能力的なものも手に入るんじゃないか、とお聞きしていますー。)

■おどろいたこと

この本を1回通読した後、うちの会社の学に「お前、知ってるか?脳ってなーー」と、ハゲヅラで赤ワイングラス片手に、シャム猫をおれの胸毛で撫でながらながらしゃべっていた。

メモリー不足の俺にしては、いつもよりもよく本の内容を覚えていたので、かまずに他人としゃべれることのない俺だが、その日は饒舌で上方落語界のホープを思わせた。

一通り、エセしゃれこうべが話し終えた後、学が切り出した。

「おれも最近、興味があるんですよ。
んで、こんな本買ったんですよ。」

(そうかそうか、大志を抱けよ、若人よ! 

若き諸君の、情熱を滾らせるような本は、どんなんや?)

と、学の手を見ると、

紛れもなく、俺が「読破したてホヤホヤ」の本であった。

俺が「読破したてホヤホヤ」、

かつ「パンパンに影響されており、そのくせその内容を『おれ発でーす』かのように論じていた、あの本」やんけーー!!



ちなみに、学の手にあったのはどっかの書店で「綺麗に包装されていた新刊」だったが、
俺の手にあった「それ」には「100円 (C)ブックオフ」みたいなシールが貼ってあった。



2010年いち、驚いた。と思う。


■本を読んだ、簡単な感想

専門的な用語が少なく、論理構造も単純で、初心者にもめっちゃめちゃ読みやすい本だと言える。

ちなみに、本の冒頭にあった「この絵柄は何に見えるでしょー?」的なクイズに、学はすぐにわかったらしい。

おれは、まだやっていない。

何かその手の試されている系のクイズには、やや抵抗感があるなんなー。



■やっと、本の内容(備忘録)

気になった文章を、本書内に出てきた順番に抜き出す。
おれの感想などはない分、あまりバイアスのかかっていない抜粋情報だと思って、安心して欲しい。


人間が快楽を感じるとき、脳の中では、大脳辺縁系にある感情のシステムが活性化している。とりわけ、「ドーパミン」を中心とする報酬系(脳にとってうれしいことを処理するシステム)において、神経伝達物質が放出される。
最近の研究によると、ひらめきの瞬間、この報酬系が活性化すると証明されている。

ひらめきが生まれやすい環境とは、脳がリラックス(脱抑制)できる状態のこと。極限すると、ひらめきは脳に対する抑制を外しさえすれば勝手に起こってしまうもの。

ひらめきやすい環境とは、外部からどういったインスピレーションが与えられるかではなく、いかに自分の脳がリラックスできるか、ということが大事。
毎日、自分が通っている道などが適している。

歩いているときなど、ある一定のリズムのダイナミクスに身をゆだねることが、ひらめきやすい状態に脳を誘う。

座っている時よりも歩いている時の方がひらめきやすいが、それはある程度の運動をしていた方が、脳の活性化が促進されるから。


スランプに陥っている時のような「問題を設定する」「何かを求めている状態」がひらめきを起こしやすいか否かは分からないが、そのような状態でひらめいたものをインパクトが大きいため、よく記憶されている。

ひらめきで重要な状態の1つに「メタ認知」というものがある。メタ認知とは、自分の置かれている状況を他から客観的に見る能力。

科学でも重要だと言われているが、自分が今まで気づいていなかったことに、いかに気づくか、ということも重要。


ひらめきや創造性と記憶は深い関係にある。
記憶というのは、覚えたことをただ再現するのではなく、編集されていくものだ。
この編集する力や編集されていく過程に、ひらめきが起こりやすい。

普段から、自分が興味を持つ空白(=疑問。もしくは問題と結果の間の情報が抜け落ちているもの)を持っていられるかどうか、が創造的でいられるかどうかの分岐点。


脳科学における、感情に対する考え方の定説は「脳の感情システムは、不確実性にうまく対処するためにできている」。

感情の働きと、創造性やひらめきはよく関係しており、不確実な状況がもっとも人間の感情を喚起する。

強烈な感情の働きが起こると、それだけ記憶への定着が強くなる。


なぞなぞのようなものに対する答えは、短時間でひらめく場合が多いが、
そうでない場合は、いつにどのように結果が出るかわからないような「スローラーニング」に入ってしまう。

ひらめきを強化するには、このようなスローでランダムな「スローラーニング」を大切にしなければならない。


FOK(Feeling of Knowing)」のメカニズムとは、直接コントロールすることのできない側頭葉の無意識のプロセスを、前頭葉の意識的なプロセスがそれでも何とか把握しようとする時に生まれる現象。スローラーニングもこの現象に近い。

たとえば小学校の時の好きだった子の名前を思い出そうとする。
すぐに思い出せなかった場合、いろいろな周辺情報などを想起しながら思い出そうとする。このとき、側頭葉の記憶のシステムが自発的に活動している。何とか記憶のつながりから、答えを導き出そうと活動している。

ひらめきをはぐくむ脳の学習は、ゆったりと熟成するのを待つしかない。
(意識ではコントロールし切れない、プロセスだから。)


創造性は「体験×意欲」といえる。
この場合の「意欲」とは、FOKが成り立っている「ど忘れ」の事項を一生懸命思い出したり、何となくあるイメージを具体的な作品にしていったりするための意欲。

人間がある時に使えることのできる「ワーキングメモリー」は7個までと言われている。
(ストーリー性などによって紐づいていない場合)
意欲があれば、無数にある記憶のアーカイブの中からワーキング・メモリーとして何をどのように蘇らせるか、などを活発にすることができる。

記憶のアーカイブである「長期記憶」に書き込むためには、感情の力が重要。

外界から入ってきた刺激は、まず前頭葉にワーキング・メモリーとして一時的に蓄積される。その中の一部分のみが無意識のうちに側頭葉の長期記憶に書き加えられる。
その際に作用するのが、扁桃核と中心とする情動系(感情を司るシステム)。

長期記憶に蓄積されるためには、情動系の海馬と大脳皮質との間に協調関係が必要。海馬の働きがなければ長期記憶に書き込まれない。また、長期記憶の書き込みに必要な海馬の活動が終了するまでには、数秒間かかることがわかっている。

長期記憶として書き込まれるためには、大脳皮質の側頭葉に神経細胞間でのシナプス結合のパターンとして書き込まなければならないが、それを最終的に定着させるためには、タンパク質の合成が必要。

つまり、タンパク質が長期記憶にとっては重要?(ここは記載されていない)


長期記憶として情報が脳に定着したのち、記憶の編集が行われる。これが重要。

当初は「この時にこういうことがあった」というエピソードとして貯蔵された記憶が、徐々に「こういう意味がある」という意味記憶に変わっていく。

記憶が編集されることで、新しいものが生まれる。記憶の編集力こそが、ひらめきを生み出す力。
記憶の編集は意識的に行えるものではないが、ひらめきたいジャンルに近いジャンルの読書をたくさん行ったり、経験を短期間に行うことは重要。

記憶は長い期間にわたって、変化し続ける。
コンピューター上のメモリとは全く違った、人間の脳だけが持つ性質である。


サヴァン能力を持つ人は、記憶を編集してエピソードから意味を見出すことが苦手な一方、記憶を正確に持ち続けることは得意であるとされている。
記憶の編集力と、記憶の正確な再現力は、お互いにトレードオフの関係にあるのかもしれない。


ひらめきや創造性が必要な理由は、直面する不確実性にうまく対処するため。
自発性が重要。自発的な脳活動が外部の環境との間に、密度の濃い相互作用のループをつくることで、ひらめきや創造性が生まれる。

不確実性に対処するためにもっとも重要な働きをするのが感情。

不確実性は感情を活性化する。

感情の中枢は、大脳皮質の下の方にある扁桃核や中脳といった、進化的に古い脳。
だからこそ、感情は原始的で定型的な反応だと考えられていた。

感情は理性にコントロールされているのではなく、むしろ理性を支えている。


不確実性が存在するときの脳の働きは、消費者の行動にも重要な影響を与えている。
不確実性が存在するときの人間の行動は、単純な経済合理性だけでは説明できないということを、行動経済学者たちは発見し、理論化してきた。

こうした行動経済学の知見が最近になって「神経経済学」という分野に発展的に止揚(アウフヘーベン)してきた。


適切な不確実性は、脳にドーパミンを発生させ、生物学的によいことである。
シュルツは、不確実性自体が脳にとっての報酬であることを発見した。
ここでいう「適切」かどうかは、過去の知識などを参照しながら、大脳皮質が判断すること。

恋愛中毒者などもそれで説明がつく。
相手が自分を好きかどうかわからないからこそ、ドーパミンが分泌され、はまってしまう。

他人とのアイ・コンタクトが、脳に報酬を与える。
目が合う相手が魅力的な存在であればあるほど、放出されるドーパミンの量が多い。

恋愛に限らず、偶有性に満ちたアイ・コンタクトは脳への報酬。

ひらめきには、無意識との対話が必要。


人間的にも脳にとっても、規則的な部分とランダムな部分が混ざっているのが一番魅力的な状態。
いかに、確実な報酬源を利用しつつ、未知の報酬を探索するか、このバランスこそが正解が与えられていない強化学習にとって大切。


子供の時に「安全基地」を与えてくれるような環境に欠けていた子供が、問題行動を起こす。
「安全基地」とは、両親などの保護者が子供に対して与える安心感のようなもの。
子供が困った時に「どうしたらいいの」と言いたげに親を見た場合、知らん顔をしないでちゃんと見返してあげる。

子供が安心して探索できるような心理的インフラを作ってあげることが大切。

「安全基地」はあくまでも「探索する自由、意欲」と対になっているわけで、過保護・過干渉では自由な探索を妨げる。

「愛着」の対象を持ち、「安全基地」に包まれてさえいれば、子供は必要なことは勝手に探索し、勝手に学習していく。

色々な知識を蓄え、経験を積めば、必ず創造のための肥やしとなる。