いまいくん伝説

5月 9th, 2006 @ 梶原 信次

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おれの大好きな友達に

「いまいくん」という友達がいる。



とにかく、愛着がもてる。



とにかく、お人よしでマイペースである。



とにかく、引越のときにはいつも手伝ってくれた。


ただし、他人の話を聞いているフリをして

全く聞いていない のプロである。







年齢は1コ上なのに、オレには敬語を使ってくれる。



おれはタメ語でしゃべってるから、

何だかちょっと気が引けるので、

よくこういう。



「いまいくん、敬語つかわんでええで。

まじでこれからタメ語でしゃべってや。」



お人よしな今井くんは



「うん。

わかりましたっ。そうします。

はいっ。」



とすかさず

声高に「YES」を主張。







もうお分かりだろうが、

返事の第一声目から、さっそく敬語なのである。



「敬語つかわんといてな」という依頼に対して

「わかりました」なのである。











今井君の実家には、

めっちゃカワイク、人懐っこい犬▼・ェ・▼が飼われていたらしい。



もう今は亡くなったらしく、

今井君が、そいつの生前を懐かしみ、

語っていたことがあった。







「もうホンマ、めっちゃ可愛かったんですよ。

見知らぬ人にも、すぐに懐きますしね。」





・・・・回想シーン・・・・





ある日、

今井君ちに

親戚一同が集結していたらしい。





今井君のおじいちゃんだけ、

体調を悪くされ、

奥の居間で

寝たきりだったらしい。





体調がよい頃のおじいちゃんには、

ポチ(仮名:さっきの犬)が

相当な勢いで 懐いていたらしい。



ポチにとっては、

「一番遊んでくれて、やさしいご主人様」

だったのが、おじいちゃんなのだろう。









で、マイペース集団 今井家の集い、

宴もたけなわな頃、





みなが集まっているところに、

あの人懐っこいポチが登場したのだ。





しかし、





何と、



何と、登場したポチは、







口の周りに、大量の血のりをつけた状態だったのだ。



でも、無邪気にしっぽを振っている。

何事もなかったかのように。



この、人懐っこいポチが。

それほどまでに…。







事件のニオイがした。







誰もが思った。





さすがの今井君も驚いた。

「どないしたんや?ポチ」





ポチは相変わらず

しっぽを振って、

ごきげんな様子だ。



おもちゃ売り場の犬や猿なんて

全く目ではない。







自分の口の周りが

金曜ロードショーの

クライマックス近くの現場のように

なっているなんて、

こんな陽気なポチには、想像すらできない。







今井君たちは心配した。

「ポチ、何かあったんか?」



ポチは

尻尾を振りながら、駆けだした。



今井君は、すかさず

後についていった。







ついていった先には

なんと、





尻尾を振り続けて じゃれているポチと



【頭部が血まみれになって横たわる おじいちゃん】



の組み合わせという、

活字で見ると、完全に「警視庁24時」な風景

だった。



ま、一言でいうと

夢のコラボである。









そう、



ポチは、

寝たきりのおじいちゃんと



心行くまで

じゃれていたのだ。



誰にも邪魔をされず。



やっぱり、

おじいちゃんが大好きだったのだ。ポチは。







おじいちゃんは

ポチになされるがままだった。







おじいちゃんは、なみだ目で言った。



「ポチはホンマにかわいいなぁ。」







今井君は、



「ああ、ホンマにポチはかわいいなぁ。」



と共感しつつ





いつもより更にマイペースに



タオルを濡らすため、台所へと歩み始めた。





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