↓↓バレンタインデーの悪夢

1月 17th, 2005 @ 梶原 信次

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あれは高1のバレンタインデー。



隣の中学で「1番カワイイんちゃうか?」と言われていたYと、

オレは付き合っていた。

付き合って半年、機も熟していた頃だった。



後で気がついたことやねんけど、

バレンタインが近づくにつれて、彼女と会う回数が減っていた。

会う時間も、日に日に短くなってきていた。



オレ以外の連れらみんなが、そのことに気付いていたらしい。

オレだけが、気付いていなかったんやと。。





そしてバレンタインデーの当日がやって来た。



オレたちは、Oちゃんという音楽・ファミコンともに

設備が充実していた友達の家で「保健体育のレポート」

するために集まっていた。





夕方くらいになると、それぞれが「チョコレートをもらいに行ってくるわ。」

とちょっとイキり(大阪弁で威張る、みたいな意味)ながら言い放ち、

Oちゃんの家を出て行った。



もちろん、オレも。





待ち合わせ場所は、事前に決めていた「サークルK前」

当時、枚方市の東香里を代表するコンビニやった。

今はない。



下り坂をチャリで颯爽と下ってくるオレ。

サークルKが見えた。

付き合っていたYが見えた。



やっぱりカワイイ。





ん?

手ぶらみたいやな。



分かった。あいつの事やから、めっちゃデカいチョコ

作ってもうたんやろな。



あいつの家は近いから、今から一緒に家へ、あいつの部屋へ行くねんや

やばい、テンション上がる~~~!



オレは人を疑わない教育を受け、ここまで育ってきた。



今まで、カツアゲは2回しかしたことがない。

1回ほどされたにも関わらず。

それくらい、純朴な高①生だった。



この辺でオチがネタバレしてるかもしれないが、軽く無視し、話は続く。





サークルK前に到着。



オレ「おぅ、ちょっと久しぶりなんちゃう?」



Y「うん、そやなぁ。。



オレ「どないしたん?ちょいテンション低めちゃう?

  どっか、その辺の公園にでもいこっか?」



Y「いや、ここでええょ…。



そうか、皆が見てる前でいちゃつくのが好きなんや、この子は。

皆に見せびらかしたいねんや、この子は。



半年も付き合えば、やっぱ大胆になりよんでな!女は!





オレは男らしく、彼女をリードすることに決めた。

しかし、いやらしくならないように、

デートの時は常に爽やかさを忘れずに



HotDog Press(昨年、ついに廃刊)に、そう書いてあったからだ。



Yの手を引き、Yの家へ向かおうとした。

Yの右手を取ろうとしたオレの右手は、空を切った



んん???



Y「あんな、もう付き合っていく自信、ないねん。」



オレ「あっそう。 …へっ?」



Y「ごめんけど、別れよう。。。」



オレ「…」



本当に頭の中が真っ白になることって、

人生にそう何回もあることではない。



オレの人生では多分、その時が「初登場」だった。

期待のルーキー「頭の中真っ白君」は、鮮烈なデビューを飾った。



彼が勢い良く振ったバットは、オレの脳みそをジャストミートで捉えた。



その間、約0.5秒。



すぐに我に返ったオレの頭の中に残っていた言葉は、

「デートの時は常に爽やかさを忘れずに」



というHotDogPressのマニュアルの言葉だけだった。



オレはYにこう言った。



オレ「そうかぁ~、ようし、ほな楽しい人生を送ってくれやっ!

   な~るほ~どなぁ! ほんじゃ」



今時、NHK教育の体操のお兄さんでも、ここまで理解を示さないはずだ。

しかも、思ったより大きな声が出てしまった。



これを読んでいる皆さんが思ったより



オレは本当に今何が起こったのか、さっぱり分かっていなかった。



だってな、バレンタインにフラれる奴がいるなんて、

HotDogには書いてなかったもんな。





その時サークルK前には高3くらいの人らが、3人いた。

3人ともが半笑いで、オレを見ていた。



まさか、バレンタインデーにフラれたわけじゃ…」

半笑いの眼は、そう語っていた。



オレは、ダッシュでチャリに乗った。

漕いだ。漕いだ。漕いだ。



上り坂なんて、わけないさ。

鳥になるなんて、わけないさ。

I Can Fly~!





Oちゃんの家に帰るまでには、ファミマがあった。

オレはそこでチョコレートを買って、Oちゃんの家に戻った。



Oちゃんの家のドアを開けるなり、オレはこう言ってやった。





「あいつ、手作りチョコ失敗してこのチョコやねん!やっぱカワイイわ。」